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ちひろ今週のちょいす

「金子みすゞ全集」(JULA出版局)より

ここで掲載しています詩は、現代かなづかいにしており、実際の全集とは異なった表記をしている箇所もあります。

金子みすゞの詩、写真は、金子みすゞ著作保存会の了承を得て掲載しています。
転載される場合は、必ず「金子みすゞ著作保存会」の許可を得てください。
連絡先:〒171-0033 東京都豊島区高田3-3-22 JULA出版局内
Tel:03-3200-7795 Fax:03-3200-7728


金子みすゞとの出会い

昭和59年(1984)11月8日。

私がまだ12歳のその日、私の父がある1冊の本を買いました。

「わたしと小鳥とすずと」金子みすゞ童謡集

父は読書が大好きで、よく本を買っていましたので、
父の本棚には何百冊と本が並んでおりました。
まだ難しいものに感じた父の本。
私はよく背表紙だけを眺めていたものでした。
「金子みすゞっていう人がいるんだ・・・。40歳くらいの女性なのかな」
たくさんの背表紙の中で、その1冊は心惹かれる青色をしていました。

そして、月日は流れ・・・・・

24歳で上京し、作曲家として活動をしていた私でしたが、
音楽業界で求められる音楽の方向性に違和感を持ち始めてから、
だんだんと作曲が出来なくなり、
心身共に疲れ果て自分を見失ってしまいました。

「ちひろは帰れる故郷があるからいいね」
東京が地元の友人が言った言葉が、心の奥で響きました。

そして、平成15年(2003)1月21日。
6年半の東京での活動にピリオドを打ち、13年ぶりに帰郷しました。

その年は偶然にも、金子みすゞさんの生誕100年という記念の年でした。
その時の私はまだこれから先の目標を無くしたままで、
音楽を捨て、人生をもう一度やり直すのかと、力なく思っていたものでした。
ふと私は父の持っている詩集を思い出し、手に取りページをめくりました。

「あ・・・。」

「・・・歌いたい世界が・・・ここにある・・・。」

その詩集には、私がずっと探し求めていた、音楽で表現したい世界が、
言葉として、詩として、そこに表れていたのです。

「この詩に曲をつけて、歌いたい・・・」

心臓がズキンと音を立てて鳴り、
私は体中が熱くなるのを感じました。

ずっと音楽で表現したい世界を探し求め、遠くまで旅をしましたが、
実はそれは、一番近くにありました。

でも、遠くへ旅をしたからこそ、そのみすゞさんの詩の言葉が、
深く、深く、清らかに、響いてくるのだと感じています。

12歳の時に父が買っていたみすゞさんの詩集。
ずっと開かずにいたみすゞさんの詩集。
今、この時が、出合うタイミングだったんですね、みすゞさん。

こうして、みすゞさんの詩を歌い始めて7年が経ちました。
海を越えて台湾までも、歌い伝えるご縁をいただきました。
これからも、出合った時の想いを忘れずに、
みすゞさんの心を歌い続けていきたいと思います。

ちひろ

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